〜平成10年9月刊行
25年連続出陣記念誌 『茂森新町ねぷたの歩み』 編集後記から〜

 
 今、少年犯罪の増加が社会間題となっており「心の教育」の重要性が問われて
います。昨今の子供たちを取り巻く環境をみると、学業重視で遊ぶ時問もないよ
うな気がします。この傾向は都会に多いという印象を受けますが、こうしたスト
レスや心のゆとりのなさが問違ったはけ口に流れ、さまざまな問題を引き起こし
ているのではないかと思えてなりません。これは子供たちだけに限らず大人社会
でも同じ事がいえます。

 青森県にはこれらの間題を吸収できる祭りや郷土芸能が多く、その中において
も弘前ねぷたは、老若男女が一同に会して参加できる代表的な祭りであると言え
ます。幸いなことに私どもの町会にも古くから受け継がれてきたねぷたがあり、
ねぷたに携わっている人たちは祭りの期間中だけでなく、一年を通じての交流が
あります。

 ねぷたに真剣に取り組んでいる仲問達だからこそ、時には厳しい意見をぶつけ
合うこともありますが、そのことによって「茂新ねぷた」は成長し、また、それ
以上に意見をぶつけ合った個人個人が大きく成長するのです。

 このたび記念誌の執筆にあたり、取材を通じて多くの方々から感じたことは、
新しい物を取り入れたり、作ったりすることも大変であるけれど、伝統や技を守
っていくことのほうがもっと大変なのではないかということです。

 この記念誌の発刊に微カながら協カできたことは、最高に誇らしいことであり
幸せなことですが、同時に、町内の青少年の健全青成と町民を始めとした多くの
関係者が和合するための材料になれば幸いです。

平成十年九月吉日

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